東南アジアのECといえばShopeeやLazadaが圧倒的な存在感を誇っていましたが、近年「TikTok Shop」の台頭が目覚ましい勢いで進んでいます。とりわけZ世代を中心に、ショート動画やライブ配信を通じて偶発的に商品と出会い、そのまま購入へ至るケースが急増しているのです。では、これまでShopeeなどECモールで買い物をしていたユーザーが、なぜTikTok Shopに流れているのでしょうか? 本記事では、ユーザー心理の変化とともに、ブランド側がとるべき戦略を解説します。
変化の兆し:Shopeeだけではない“購買行動の分散化”
東南アジアのEC市場では、かつて「とりあえずShopeeを開いて商品を探す」という行動が主流でした。しかし、2023年以降の各種調査や実感値として、ユーザーの購買行動が徐々にSNSへとシフトしている兆しが見られます。
2023年以降、TikTok Shopの利用率が急拡大
フィリピンやインドネシア、マレーシアなどでの調査によると、TikTok Shopの利用率は年々上昇中。若年層を中心に「ライブ配信やショート動画を見て、そのまま購入」する行動が広がっています。一部では「TikTok Shopが次のShopeeになる」とまで言われるほど。
Shopeeユーザーの一部が“TikTokから買う”へ移行中
Shopeeの既存ユーザーが、何か新しい商品を探すときではなく、「TikTokで面白い動画を見ていたら衝動買いした」というパターンが増えているのが特徴です。モール内での検索ベースとは異なる意思決定プロセスが働き、「気付いたらShopeeではなくTikTokで買っていた」という声も。
モール完結型 → SNS発見型へ変わる意思決定プロセス
Shopeeなどモールでは「価格比較」や「レビュー閲覧」がメインの行動だったのに対し、TikTokでは「コンテンツ視聴」や「ライブコメント」を通じて商品を知り、そのまま購入という“発見型コマース”が主流となっています。つまり、ユーザーの購買行動の一部が“大量の商品検索→比較→購入”から、“偶然の出会い→共感→衝動買い”へと変化しているのです。
ユーザー心理①:「探す」から「出会う」へ
ShopeeからTikTok Shopへユーザーが流れる背景として、まずは購買プロセスの大転換が挙げられます。検索して商品を「探す」行動から、SNS上で動画を見て偶然に「出会う」行動へ。これは大きな心理的変化を伴います。
検索前提のShopee、視聴体験前提のTikTok
Shopeeの場合、ユーザーは欲しい商品を「検索」して探すのが一般的です。一方、TikTokではショート動画を次々とスクロールする中で面白そうな商品に遭遇し、その動画から購入へ進むという流れ。最初から買いたい物が決まっているわけではないため、衝動買いや“出会いがしらの”買い物が増えるのです。
目的買いから“偶発買い”への移行と衝動購買率
検索結果で比較検討して買うShopeeに対し、TikTokではライブ配信者の話を聞きながら「面白い」「今すぐ欲しい」と思って買うことが多く、衝動的な購買率が高まります。価格競争よりもエンタメ性や独自性が評価され、結果として定価でも売れやすい場面が見られるのです。
ユーザー心理②:「レビュー重視」から「共感&リアル」へ
従来のECモールではレビュー評価が購入の決め手でしたが、TikTokでは“リアルタイムの声”がより大きな影響力を持ちます。どのように変化しているのでしょうか?
Shopeeでは星評価と口コミ、TikTokではコメントと配信者の一言
Shopeeでは商品ページに表示される星評価や長文口コミを比較し、「この商品は評判がいいか?」をチェックする人が多いです。一方、TikTokではライブ配信や動画コメント欄が重視され、実際に配信者のリアクションや他の視聴者のコメントを見ることで信頼を形成するのが特徴です。
“自分と同じ人が使ってる”というリアリティが鍵
TikTokの動画では、配信者が実際に商品を試す様子や自分の日常に取り入れるシーンを見せてくれます。そこにコメントでリアルタイムの反応が入るため、視聴者は「自分でも同じように使えるかも」と強く思い、レビュー以上の共感を得やすいのです。
ユーザー心理③:「比較検討」より「ライブ感と限定感」
Shopeeでは価格やスペックをじっくり比較し、コスパが良い商品を選ぶ行動が多いですが、TikTokでは“ライブ感”や“今だけ感”が消費を後押しします。これはどのように購買行動を変えているのでしょうか。
Shopeeは価格比較に強い、TikTokは「今買わないと」心理を刺激
Shopeeで買う場合は「他にもっと安い商品はないか」「レビュー数が多い商品はどれか」と価格・評価ベースで比較するため、慎重な購入になりがちです。TikTokではライブ中に「今だけ20%オフ」や「在庫僅少」と言われると、「このタイミングを逃せない!」と衝動買いするユーザーが増える傾向があります。
購入の決め手が「情報量」から「空気感」へと変化
Shopeeにおける商品情報の多さ(詳細なスペック、数百件のレビューなど)とは対照的に、TikTokでは“楽しさ”や“ライブ配信の熱気”がユーザーを動かします。そこでは理屈よりも、感覚的・感情的な要素が重視されるのです。
ブランド側がとるべき戦略の使い分け
こうしたユーザー心理の変化に合わせ、ブランド・セラー側は「モールでの販売」「SNSライブでの販売」をどう使い分ければ良いのでしょうか? ここでは戦略的なアプローチを提案します。
モール:指名買い、価格訴求、定番商品の安定販売
ShopeeやLazadaなどのECモールは、既に認知されている商品を価格やレビューを比較しながら買うユーザーに強いチャネルです。指名買いされやすい定番商品や、コスパを重視するターゲット向けには引き続きモールが効果的と言えます。
TikTok Shop:話題作り、新商品導入、Z世代向け施策
逆に、まだ認知度の低い新商品や、Z世代を狙った話題性重視のマーケティングでは、TikTokが最適。ライブ配信やインフルエンサー起用によるバズ効果で短期間に注目を集め、衝動買いを誘発できる可能性が高いです。
クロスチャネル設計で“買い場所”を複数持たせる
最終的には、ユーザーがどちらで買いたいかを選べるようにしておくと良いでしょう。TikTokで話題にしつつ、詳細スペックやレビューを見たい人にはShopeeへのリンクを用意するなど、クロスチャネルで連携することで売上機会を逃しにくくなります。
まとめ|ユーザー心理の変化にあわせて販売チャネルを最適化しよう
東南アジアのECユーザーは、特定のモールに集約されていた時代から、SNS経由の“出会い”による購買へと行動を分散化させています。その最たる例が、ShopeeのようなモールからTikTok Shopへの流れ。今後ますますこの傾向は強まるでしょう。
“同じ商品でも、売れる場所・タイミング・表現は変わる”
モールで売れる商品と、TikTokでバズる商品は必ずしも同一ではありません。また、同じ商品でもモールでは価格・レビュー重視、TikTokではライブ配信やインフルエンサー演出重視など、販促の切り口を変える必要があります。複数チャネルを使い分ける戦略が大切です。
freedoorではモール×SNSを連携させた販売導線設計を支援中
今後、ShopeeやLazadaだけでなく、TikTok ShopなどSNS発のECチャネルを組み合わせた戦略が不可欠。freedoorでは、モール運用とSNSライブコマースを連携させた統合的な販売導線の設計・運用をサポートしています。
ユーザー心理が刻々と変化する中、柔軟にチャネルと施策を最適化し、高い成果を目指しましょう。
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