東南アジアのEC市場は近年ますます注目を集めており、多くの日本企業や個人セラーが参入を試みています。しかし、「初年度の1年目」でつまずいてしまい、十分な成果を得られないまま撤退してしまうケースが後を絶ちません。
なぜ出店1年目が特に難しいのか? その理由を把握し、具体的な失敗パターンを回避するノウハウを身につけることで、スタートダッシュから大きくリードできる可能性が高まります。
本記事では、よくある失敗事例と、そうならないための回避策を整理しました。ECへの新規参入を考えている方や、すでに出店準備を進めている方は、ぜひ参考にして1年目を成功への足掛かりにしてください。
なぜ“出店1年目”がもっともつまずきやすいのか?
どのビジネスでも、最初の1年目はとても重要な期間です。特に海外EC市場に挑戦する場合、日本国内とは異なる文化・消費習慣・競合状況などに対応しなければなりません。加えて、ブランド認知度もゼロから積み上げる必要があるため、スムーズに売上を伸ばせる企業はごく一部です。ここでは、1年目に苦戦しがちな理由を整理します。
初期投資・運用ノウハウ・現地理解が不足しやすい時期
新たに東南アジアのECモールへ出店する場合、商品のローカライズや物流手配、広告運用、顧客対応など、数多くの“初期投資”や“ノウハウ獲得”が必要です。これまで国内ECを運営していた事業者でも、海外特有の言語や文化を踏まえた対応が求められ、一筋縄ではいきません。
また、現地市場のリサーチや実際の消費者傾向を十分に把握しないまま出店すると、適切な価格帯や販促戦略を設定できず、想定外のコストばかりがかさんでしまうリスクが高いです。
売れない時期が長引くと撤退判断が早まるリスク
「最初の1年間は赤字覚悟」と言われることもありますが、思った以上に売上が上がらず赤字が膨らむと、撤退を検討せざるを得なくなるケースが出てきます。特に、スタートアップ企業や中小企業の場合、資金に余裕がないため数か月で撤退を決断することも少なくありません。
しかし、一時的な赤字でも、ノウハウが蓄積され、徐々に売上が伸びてくる可能性は十分にあります。短期的な不振だけを見て早期撤退してしまうと、せっかくのビジネスチャンスをみすみす逃してしまうことになります。
失敗パターン①:マーケットリサーチ不足
東南アジアでの販売に成功するためには、何よりもまず「現地ユーザーはどのような商品を求めているのか」を把握することが欠かせません。ここで失敗してしまうと、いくら広告費をかけても反応が鈍く、在庫を抱え込みやすくなります。
ニーズ・競合・価格帯を確認せずに出店すると?
出店前のマーケットリサーチで最低限確認すべき項目としては、以下が挙げられます。
- 同ジャンル商品へのニーズの大きさや成長性
- 競合他社の商品ラインナップと価格帯
- 現地ユーザーが重視する品質や機能
- 売れ筋商品と売れない商品の傾向
もしこうした基本情報を調べずに出店を始めてしまうと、思ったよりも需要が低かったり、既に強力な競合が存在していたりして、赤字を垂れ流し続ける事態に陥る可能性が高いです。
“日本で売れてる”が東南アジアでは通用しない典型例
多くの日本企業が陥る錯覚のひとつに、「日本でヒットしているから海外でも売れる」という思い込みがあります。実際には、東南アジアの消費者は日本人とは異なるライフスタイル・価値観を持ち、日本での人気商品がそのままの形では刺さらないケースが多いです。
例えば、冬物アパレルや冷涼地向けの家電など、日本向けの商品が年間を通じて暑い地域ではまったく需要がない、ということも。売れると思って在庫を大量に持ち込んだ結果、在庫処分に苦しむ事例が後を絶ちません。
失敗パターン②:ローカライズ対応の不備
出店1年目の失敗要因としてもうひとつ大きいのが、「現地ユーザーに合わせたローカライズができていない」ことです。たとえ商品自体に魅力があっても、言語や文化面で合わない部分があると、ユーザーは不安や不信感を抱き、購入をためらってしまいます。
言語・文化・顧客対応が「海外向け」になっていない
特に重要なのは商品ページの言語対応です。英語を公用語とする国や地域であっても、細かいニュアンスを伝えるにはネイティブレベルの翻訳が求められます。誤訳や機械翻訳丸出しの文章だと、ユーザーは「本当に信頼できるブランドなのか?」と疑問を抱くでしょう。
また、文化的背景が異なると「好まれる表現」や「忌避される言葉」も変わるため、現地の慣習を理解したうえで宣伝文句やビジュアルを作成する必要があります。
レビュー・Q&A対応で信頼を損なう失敗例
ローカライズができていないと、購入後の顧客対応にも支障をきたします。ユーザーからの問い合わせに対して英語や現地語でスムーズに回答できなかったり、レビューへの返信が遅かったりすると、評価が下がりやすくなります。
特に出店初期はレビュー数が少ないため、1件の低評価レビューでも全体の印象を大きく左右します。丁寧な言語対応や迅速なトラブル処理を行うことで信頼を積み上げることが不可欠です。
失敗パターン③:広告依存 or ノー販促戦略
初期の売れ行きを伸ばすために広告は有効な手段ですが、過度に依存しすぎたり、まったく打たなかったりという両極端な戦略はうまくいかない場合が多いです。出店1年目こそ、広告を使いつつ、商品ページやレビュー獲得など基礎的な部分にも注力する必要があります。
広告に頼りすぎる vs まったく打たない の二極化
海外ECでの販促経験があまりない企業は、「とりあえず広告予算を大きく設定して知名度を上げよう」と考えがちです。しかし、商品の魅力やページの完成度が低いまま広告費を投入しても、クリックは増えても購入に結びつかず、赤字が膨らむリスクが高まります。
逆に、「広告費をかけるのはもったいないから、自然流入に期待しよう」と考え、何の販促も行わないと、そもそもユーザーに見つけてもらえず、認知度が一向に上がらない状況に陥りやすいです。
初期こそ“広告×商品ページ改善”の併用が必須
出店初期はまだレビューも少なく、検索アルゴリズム上も不利になりがちです。そのため、一定の広告出稿でアクセスを確保しつつ、その流入データをもとに商品ページを改善し、レビューを増やすというサイクルを作ることが大切です。
たとえば、CTR(クリック率)が低い場合は広告のクリエイティブを変えてみる、CVR(購入率)が低い場合は商品説明や価格設定を見直す、というように、広告運用とページ最適化を同時進行で行うことで売上を安定化させやすくなります。
失敗パターン④:物流と返品フローの甘さ
東南アジアのECで特に重要なのが、物流と返品対応です。日本国内と比べると配送インフラや顧客の受け取り体験が異なる場合が多く、ここでのトラブルが顧客満足度に直結します。
遅延や誤配送がレビュー低下に直結
国境を越えた越境ECでは、配送が遅れたり、途中で紛失・破損したりするリスクがどうしても高まります。こうした問題が多発すると、「この店からは二度と買わない」という悪評がSNSや口コミサイトで拡散される恐れがあり、致命的なダメージを受けかねません。
初期段階で現地の物流パートナーやFulfillmentサービスとの連携を確保し、遅延リスクを最小限に抑える体制を作ることが大切です。
返品フローが複雑すぎてクレーム化する事例
海外への返品は、送料や税関手続きなどが絡むため非常に煩雑になりやすいです。顧客にとって負担が大きいと「返品したくても手続きが面倒」「問い合わせてもよくわからない」といった不満が募り、クレームが発生しやすくなります。
そのため、返品ポリシーを明確に提示し、顧客にとってわかりやすいプロセスを用意することが重要です。可能であれば現地倉庫での交換対応や返金プロセスをシンプルにするなど、ユーザーファーストな設計を心がけましょう。
まとめ|1年目は「売れる型」を作る期間と捉えよう
初めての海外EC出店は、どの企業にとっても未知の連続です。1年目から完璧な結果を出すのは難しく、多くの場合試行錯誤や小さな失敗を重ねながら、徐々にビジネスモデルを固めていく流れになります。大切なのは、失敗を前提にした上で素早く学習し、改善を重ねる姿勢です。
完璧な立ち上がりを目指すより、PDCAを早く回す
海外ECでは、計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Act)のサイクルをどれだけ早く回せるかが成功の鍵です。失敗パターンや課題をいち早く見つけ、対策を講じながら売上拡大を目指すことで、1年目の間に「売れる型」を確立できる可能性が高まります。
もちろん、大きな方向転換が必要な場合もあるかもしれませんが、そこも含めて「市場からのフィードバック」を早期に得ることが重要です。
外部パートナーや実績ある支援の活用も有効
言語面や現地物流の調整など、初めての海外ビジネスではどうしてもハードルが高い領域があります。自社だけで完結させようと無理をすると、時間とコストがかさみ、結果的に1年目の失敗率が上がりかねません。
そこで、実績のある支援会社やパートナー企業を活用し、翻訳・顧客対応・広告運用・物流管理などを部分的にアウトソースするのも賢い選択肢です。専門家のサポートを受けることで、初年度から軌道に乗せる確率が格段に上がるでしょう。
出店1年目を「苦しい時期」と捉えるか、「成長の土台を作る大切な期間」と捉えるかで、その後の結果は大きく変わります。ぜひ本記事の失敗パターンと回避策を活かしながら、海外ECの成功に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。
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