東南アジアの中でも人口1億人超を抱え、若年層が多いフィリピンは、近年ECが急成長している注目の市場です。特に2025年に向けて、モバイル利用やSNSとの連動による購買行動がさらに活発化しており、オンラインショッピングが当たり前の文化へと定着しつつあります。
本記事では、そんなフィリピンのEC市場における2025年現在の売れ筋商品カテゴリや価格帯ごとのトレンド、そして実際のプロモーション設計や差別化のヒントを整理します。フィリピンでの出店や販路拡大を検討している事業者の方々にとって、最新の動向を押さえることが成功の鍵となるでしょう。
フィリピンEC市場の成長背景と2025年の注目点
フィリピンは東南アジア随一の人口規模を持ち、平均年齢が若い国として知られています。スマートフォン普及率の上昇や配送インフラの改善により、オンラインでの購買が急速に増えており、コロナ以降はEC利用が一段と加速しました。2025年に入っても、その勢いはとどまることを知りません。
人口動態・モバイル普及率・インフラ整備が進展
もともとSNSの利用者数が非常に多いフィリピンは、FacebookやInstagram、TikTokなどのプラットフォームで日常的に情報を収集し、そこからECモールへ誘導されるユーザー行動が定番化しています。
さらに、政府や民間企業によるデジタルインフラの整備が進み、地方都市や離島部でもモバイル回線が利用しやすくなってきました。これに伴いEC利用者の裾野が広がっており、潜在顧客が以前にも増して増大している状況です。
Shopee・Lazadaのシェアとモバイル経由の購買率
フィリピンのEC市場では、ShopeeとLazadaが2大プラットフォームとして君臨しています。2025年時点でもこの構図は大きく変わらず、特にShopeeはモバイルアプリの使いやすさや大規模セールなどで圧倒的なユーザー数を抱えています。
注目すべきは購買行動のほとんどがモバイル経由で行われているという点です。ユーザーはSNSで見つけた商品リンクをそのままアプリで購入するなど、スマホ一台で完結したショッピングを好む傾向があります。
2025年は“生活密着”＋“SNS映え”の二極化が加速
フィリピンのEC市場を形容するキーワードとして、「日常必需品やコモディティ系の需要増」と「SNSで映えるファッショナブル・ユニーク商品への高い興味」の二極化が顕著です。
コロナ以降、家での時間を快適に過ごすための生活雑貨・ホームアイテムなどが引き続き人気である一方、若年層を中心にSNSでシェアしたくなるようなトレンド商品や限定アイテムも売れ筋に。販促施策もこれら二極を意識した作り分けが求められます。
今売れている商品カテゴリTOP5（2025年最新データ）
ここからは具体的に、2025年現在のフィリピンEC市場で特に売れ行きが好調なカテゴリを挙げ、それぞれの特徴やユーザーの購買行動を解説します。
① ビューティー・スキンケア：韓国・日系ブランドの人気
ビューティー・コスメ関連は、東南アジア全域で根強い需要がある分野ですが、フィリピンでもK-Beauty（韓国ブランド）や日系ブランドへの注目度が高いです。
実際の売れ筋としては、シートマスク、化粧水、日焼け止めなどのスキンケア用品が主力。韓国の最新トレンドを追いかけるZ世代が多く、レビュー数が多い商品やSNSで話題のアイテムほど飛ぶように売れます。日本発のブランドも「品質が良い」という評価を得やすいため、新商品を出しやすい市場と言えます。
② ファッション：手頃価格＆SNS映え重視
ファッションカテゴリは、低〜中価格帯が特に売れやすいのがフィリピン市場の特徴です。若いユーザーが複数のアイテムをまとめ買いしたり、イベントやパーティー用の服を探すことが多いので、デザイン性とコスパのバランスが重視されます。
「SNS映えする」カラフルなアイテムや、オーバーサイズ、ストリート系などのトレンドファッションが人気で、Shopeeのフラッシュセールやクーポンを使って購入する層が多いです。
③ ガジェット・アクセサリ：Z世代×スマホ需要
スマートフォンが欠かせないフィリピンでは、スマホ関連アクセサリやガジェット類が根強く売れています。イヤホン、Bluetoothスピーカー、充電ケーブルやバッテリーなど、比較的安価でSNSをきっかけにバズりやすい商品が中心です。
特にZ世代は、新しいガジェットやユニークなアイテムをSNSで自慢したり共有することが多いため、「面白い機能」「かわいいデザイン」などがヒットの鍵となります。
④ ホーム・生活雑貨：コロナ以降の“暮らし整え”需要
コロナ禍を経て、在宅時間が増えたフィリピンの家庭では、収納グッズやキッチン用品、ルームデコアイテムなどへの関心が高まっています。インテリア雑貨や整理整頓グッズなど、生活を快適にする商品が売上を伸ばしており、特に既存の家具にプラスアルファで使える手軽な小物が人気です。
「見た目にかわいい」「使いやすい」「部屋をオシャレに演出できる」など、機能性とデザイン性の両立が求められます。
⑤ ヘルスケア・サプリ：健康志向の高まり
フィリピンでも健康志向が徐々に広がっており、サプリメントやビタミン剤、ダイエット食品などの需要が増えています。特にコロナ以降は免疫力アップや健康維持に気を遣う層が拡大し、ECでこれらの商品をまとめ買いする動きが見られます。
日本製サプリは品質への信頼感から売りやすいカテゴリーですが、成分表記や使用方法を英語またはタガログ語でしっかり明記しないと、ユーザーが不安を感じる可能性がある点に留意しましょう。
価格帯別の売れ筋傾向とユーザー心理
同じカテゴリでも、低価格帯から高価格帯まで多様なラインナップが存在します。フィリピン消費者の価格帯ごとの購買心理を把握することで、効率よくアプローチが可能です。
低価格帯：送料無料・フラッシュセールで動く層
主に学生や若年層向けの商品は、送料無料やフラッシュセールが購入の決め手になりやすいです。クーポンを適用して1品あたりの価格を極限まで下げると、一気に注文が殺到することも。
ただし、利益率を確保するには仕入れコストや物流費を厳しく管理する必要があります。レビュー数やリピートが増えると中価格帯商品への誘導もしやすくなるので、戦略的に低価格商品を投下するのも一つの手です。
中価格帯：レビュー・ローカル感が購入の決め手
200〜500ペソ程度の中価格帯商品は、買う前にユーザーがレビューや商品ページをしっかりチェックする傾向が強いです。また、日本ブランドの場合は「実際にフィリピンの生活に合うのか？」というローカル感が疑問視されがちなので、現地仕様の説明や使用シーンを具体的に示すと安心感を与えられます。
レビューが少ないと購買をためらう層が多いため、初期レビューの獲得施策が重要になってきます。
高価格帯：信頼性・ブランドストーリーが重要
1,000ペソ以上の商品（約2,500円〜）になると、ユーザーは「本当にこの価格を払う価値があるのか？」という判断を慎重に行います。ここでは、ブランドイメージやストーリー、高評価レビューが大きな決め手です。
日本製のプレミアムイメージを活かしつつ、フィリピンのユーザーに合わせたサポート体制（英語対応のカスタマーサービスなど）を整えると、高価格帯でも売れやすくなります。
フィリピン消費者の“買いたくなる”プロモーション設計
人気カテゴリを揃えるだけでなく、どうプロモーションを行うかが売上を左右します。フィリピンのユーザーを惹きつけるための基本的な施策を確認しましょう。
人気の施策：バウチャー・限定セール・レビュー活用
フィリピンのECプラットフォーム、特にShopeeでは、バウチャーやフラッシュセールが集客力の要となっています。期間限定で割引や送料無料クーポンを配布し、購買意欲を後押しする手法が定番化しています。
また、レビュー活用（写真付きレビュー、動画レビュー）も購買率を上げる大きなポイント。レビュー投稿者へのクーポン配布やSNSでの紹介を促す仕組みを作れば、自然な口コミ拡散が期待できます。
“英語対応”と“親しみある表現”がコンバージョンを左右
フィリピンでは英語が広く通じますが、若年層の間ではタガログ語やTaglish（タガログ語＋英語の混合）も日常的に使われています。
ECの商品の説明や広告コピーは英語だけでも十分伝わりますが、軽いタガログ語フレーズを入れるなど、ローカル感を出すと“親しみ”が増してCVR（購入率）が高まる傾向があります。ただし、混在表現が不自然にならないよう、ローカルスタッフや専門家のチェックが大切です。
ローカル競合と差別化するためのヒント
フィリピン市場では、すでに多数のローカルセラーや同じカテゴリを扱う海外ブランドがひしめき合っています。商品力だけでアドバンテージを得るのが難しい場合、どんな部分で差別化を図れるのでしょうか。
商品力だけでは差がつかない！ローカル最適化が鍵
同じ化粧水やファッション小物を販売していても、ローカル感を出せているかどうかで売れ行きが変わります。たとえば、使用感やサイズ感などをフィリピンの気候や体型、ライフスタイルに合わせて説明したり、フィリピンの人気インフルエンサーとのコラボを活用したりする手段が有効です。
また、タイムリーな季節イベントや文化的行事（フィリピンではクリスマスシーズンが長い）に合わせたキャンペーンを行うなど、日常生活の中に溶け込むアプローチを意識しましょう。
レビュー設計・梱包体験・カスタマー対応の改善例
商品が差別化しづらい場合は、購入後の体験にこだわることでユーザーの満足度を高められます。具体的には：
- レビュー獲得施策：レビュー投稿者にクーポン配布、写真や動画レビューを歓迎するメッセージなど
- 梱包体験：ギフト風のかわいいパッケージや手書きメッセージカードを同梱
- カスタマー対応：英語やタガログ語での迅速返信、返品時の丁寧なサポート
こうした細やかな配慮がユーザーの心をつかみ、「この店は他と違う」と感じてもらいやすくなります。
まとめ｜2025年、フィリピン市場で売れるための戦略視点
2025年のフィリピンECは、SNSをフル活用する若年層の増加と、生活必需品や健康志向の商品需要の高まりという二極化が特徴的です。価格帯や商品カテゴリに応じて、必要なアプローチは変わりますが、根底にあるのは“ローカル目線の共感と信頼”です。
“売れる”＝ローカルと寄り添う設計と発信
フィリピン市場で売るためには、商品ページのローカライズ、レビュー戦略、価格設定、インフルエンサー活用など、多方面の工夫が欠かせません。単に「日本製で品質がいい」というだけではなく、現地の生活・文化・消費習慣にあった情報提供やコミュニケーションができるかが勝負の分かれ目となります。
freedoorでは現地市場調査・カテゴリ選定・出店支援まで一貫サポート
弊社freedoorでは、東南アジア各国でのEC出店ノウハウを活かし、現地市場調査、効果的なカテゴリ選定、ShopeeやLazadaへの出店支援、翻訳・ローカライズを包括的に行っています。フィリピン市場での成功を目指す企業のパートナーとして、ぜひご活用ください。
2025年のフィリピンECで勝ち残るためには、トレンドを押さえつつ、ローカルユーザーが「この商品なら買いたい」と思う理由を設計することが鍵です。ぜひ本記事の内容を参考に、戦略的なアプローチで現地のユーザーに愛されるブランド・商品を展開してみてください。
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