東南アジアの中でも多民族国家として知られるマレーシアは、近年EC市場が急速に発展している国のひとつです。英語やマレー語、中国語など複数の言語が混在し、消費者の嗜好も多様ですが、デジタルインフラの普及に伴ってオンラインショッピングへの抵抗は薄れつつあります。
特に国内ではShopeeが高いシェアを確立しており、地域ごとに独自のキャンペーンやフラッシュセールを実施しながら急成長を続けています。マレーシア人の多くが利用するECモールということで、日本企業の出店や商品展開も増加傾向にありますが、すべてが成功しているわけではありません。
本記事では「Shopee Malaysiaで成功する日本企業の共通点」をテーマに、マレーシアEC市場全体の動向やShopeeの特性、そして成果を上げている企業が実践しているポイントを詳しく解説します。マレーシア市場への参入を検討している方や、すでにShopee Malaysiaを利用している方が、さらに売上や知名度を高めるためのヒントとなれば幸いです。
マレーシアEC市場とShopeeのポジションを理解する
マレーシアは経済成長が続くなか、インターネット普及率やスマートフォン保有率が高いことから、EC市場が拡大傾向にあります。クアラルンプールやジョホールバルなどの都市部ではオンラインショッピングが日常的に利用されており、コロナ禍を機にEC利用がさらに加速したという背景があります。その中でも、Shopeeは積極的なプロモーションと使いやすいインターフェースを武器に、多くのユーザーを獲得することに成功しています。
マレーシアにおけるEC利用率とShopeeの市場シェア
マレーシアのEC利用者数は年々増加傾向にあり、総人口およそ3200万人のうち、インターネット利用者は2500万人以上にのぼるといわれています。EC大手としては、LazadaやShopeeが代表的で、モバイル経由での購入が非常に盛んです。特にShopeeは、手厚いディスカウントキャンペーンやゲーム機能などのエンタメ要素を取り入れた施策が功を奏し、若年層をはじめ幅広いユーザー層を取り込んでいます。
その結果、ショートビデオやライブ配信といった機能の浸透もあり、ユーザーが商品を探す際に「とりあえずShopeeを開く」という行動パターンが定着したと言われています。マレーシア国内のEC市場シェアにおいても、Shopeeがトップクラスの位置を維持しており、新規参入企業にとっては魅力的な販売チャネルとなっています。
なぜ日本企業にとってShopee Malaysiaが注目されているのか
もともとマレーシアは親日感情を持つ層が多い国の一つであり、日本製品に対して「高品質」「信頼できる」というブランドイメージを抱いている消費者も少なくありません。さらに、マレー系・華人系・インド系など多様な民族が共存するマレーシアでは、言語や文化の壁がある一方で、海外の文化やブランドに対して柔軟に受け入れる土壌があります。
こうした背景から、日本企業がマレーシア市場に進出しようとする際に、ECモールでのテスト出店や販路拡大を図るケースが増えています。その中でも、ユーザーベースの大きさや手数料面、そして機能面の充実から、Shopeeを選ぶ企業が多いのです。特に、日常消費財やファッション、ビューティーアイテムなどはオンラインでの購入が当たり前になりつつあり、これらの分野で日本企業が実際に大きな成果を上げている事例も増えています。
Shopee Malaysiaで成果を出している日本企業の傾向とは
Shopee Malaysiaに参入している日本企業は、大手メーカーから中小企業、さらには新興のD2Cブランドまで多岐にわたります。しかし、すべての企業が成功しているわけではなく、成果を伸ばすためには「マレーシア国内の消費者ニーズを的確に捉えた戦略」が求められます。ここでは、すでに売上や知名度で一定の成果を出している日本企業に共通するカテゴリーや特徴を紹介します。
人気カテゴリ:美容・健康・生活雑貨・ベビー用品など
マレーシアのユーザーが日本ブランドに期待しているジャンルとして特に目立つのが、「美容」「健康」「生活雑貨」「ベビー用品」です。
- 美容: 日本のコスメやスキンケア商品は「安全」「効果が高い」という印象が強く、マレーシア人女性に根強い人気があります。美白や保湿など日本ならではの機能性が評価されていることも特徴です。
- 健康: サプリメントや健康食品に関しては、品質管理が行き届いているイメージから日本製品を好む層が一定数存在します。清潔感や安全性を重視するマレーシアの消費者にはアピールしやすい分野です。
- 生活雑貨: キッチン用品や文房具など、機能性とデザイン性を兼ね備えた日本の生活雑貨は、海外でもファンが多いです。100円ショップ系の商品も受け入れられやすく、まとめ買い需要が見込めます。
- ベビー用品: おむつや離乳食グッズなど、「赤ちゃん向けの高品質商品」を求めるマレーシア人パパ・ママが増えており、信頼のおける日本ブランドが注目されがちです。
このように、品質や安全性、独自の機能性がアピールポイントになりやすいカテゴリが中心となっています。もちろん、ファッションや食品など別の分野でもヒットする例はありますが、上記のジャンルは特に「日本製=信頼度が高い」という認識を活かしやすいと言えるでしょう。
中小・D2Cブランドでも成功できる理由
近年、Shopee Malaysiaでは必ずしも大企業や有名ブランドだけが活躍しているわけではありません。むしろ独自性のある中小企業や、D2C(Direct to Consumer)のビジネスモデルを採用している新興ブランドが、プラットフォームをうまく活用して売上を伸ばしているケースが増えています。
理由としては、Shopee自体が出店やプロモーションの仕組みを整備しており、広告機能やキャンペーンへの参加ハードルが低いこと、そしてマレーシアのユーザーが「安価で面白い商品」を探す傾向が強いことが挙げられます。また、ライブ配信(Shopee Live)など、新興ブランドでもファンを獲得しやすい機能が充実しているのも大きな利点です。
さらに、日本企業が強みを持つ「高品質」「デザイン性」「ユニークなストーリー」が結びつくと、ブランド知名度がそれほど高くなくても売れるチャンスが生まれます。うまくローカライズを行い、ユーザーの悩みに対してわかりやすいメッセージを発信することで、徐々にリピーターを獲得していくモデルが確立しやすいのです。
成功企業の共通点①:現地ユーザー視点の徹底
Shopee Malaysiaで成果を出している日本企業の第一の共通点は、「徹底した現地ユーザー視点」を持っていることです。海外進出というと、日本での売れ筋商品やプロモーション手法をそのまま持ち込むイメージを抱く方も多いかもしれません。しかし、マレーシアの消費者は日本の消費者とは異なる言語・文化・購入動機を持っているため、単に日本のやり方をコピーするだけではうまくいかないケースが多いのです。
商品説明やビジュアルのローカライズ
現地ユーザー視点を徹底するうえで欠かせないのが「商品説明のローカライズ」です。具体的には、以下のようなポイントに気を配る必要があります。
- 言語選択: マレー語、英語、中国語と、マレーシアでは複数言語が使われています。メインターゲットとする層によって表記を工夫するか、少なくとも英語表記は充実させておくことでユーザーに安心感を与えられます。
- メリット・特徴の明示: どういった点が他の製品と違うのか、ユーザーにとってのメリットは何かを分かりやすく記述します。日本語独特のあいまいな表現は避け、数字や具体例を用いてアピールすると効果的です。
- ビジュアル面の工夫: 商品写真だけでなく、使用方法やサイズ感を伝える図解、ブランドストーリーを伝えるグラフィックなど、多様なビジュアル素材を用意することで、マレーシア人ユーザーの理解を深められます。
特に、ビューティー系・健康系の商品の場合、成分表記や使用上の注意点を現地の言語で明確に示すことが信頼につながります。マレーシアでは、ハラル認証の有無を気にするユーザーも多いため、原材料や製法などの情報提供も忘れずに行いましょう。
現地通貨・言語・問い合わせ対応の工夫
日本企業が見落としがちなのが、マレーシアのユーザーが決済時に「マレーシアリンギット(MYR)」を用いている点です。Shopeeは通貨換算を自動で行ってくれますが、商品価格を設定する際には、現地の物価やユーザーの価格感覚に応じた適切な金額を意識する必要があります。
また、問い合わせ対応についてはマレー語や英語でのコミュニケーションが求められるケースが多いでしょう。自社でスタッフを用意するのが難しい場合は、現地パートナーや翻訳サービスの利用を検討することが重要です。迅速で丁寧な対応ができれば、レビューやリピート率の向上につながり、Shopee内での評価も高まりやすくなります。
成功企業の共通点②:Shopee機能のフル活用
Shopeeは単なるECモールとしてだけでなく、独自の広告プラットフォームやキャンペーン機能、ライブコマース機能などを備えています。これらの機能を使いこなすことで、効率的にユーザーを集め、売上を加速させることが可能です。成功している日本企業の多くは、Shopee固有の機能をいち早くキャッチアップし、積極的に活用しているのが特徴です。
Shopee広告・バウチャー・セール連携の最適化
まず注目したいのが、Shopeeの広告機能とバウチャー(クーポン)、そして定期的に開催されるセールとの連携です。Shopeeでは検索連動型広告やディスプレイ広告をはじめ、多彩なプロモーションオプションが用意されています。最適なキーワードを選定して広告を出すだけでなく、バウチャーの配布やフラッシュセールと合わせて施策を組み立てることで、キャンペーン時に大きな流入を見込むことができます。
特に、Shopeeが主催する大型セール(「Double Day」セールや「9.9」「10.10」などのキャンペーン)に参加すると、プラットフォーム全体の集客力が高まり、通常時よりも新規顧客を獲得しやすくなります。こうしたイベントで一気に認知度を高め、そこからリピート購入につなげる流れをつくるのが定石です。
ライブ配信(Shopee Live)やランキング施策の実践
Shopeeは東南アジア圏全体でライブコマースを推進しており、マレーシアでも「Shopee Live」が定着しつつあります。ライブ配信を活用することで、商品を実際に使用する場面を見せたり、リアルタイムのQ&Aでユーザーの疑問を解消したりと、エンタメ性と購買を結びつけることが可能です。
さらに、Shopee内には独自のランキングや売れ筋リストがあり、ランキング上位に入ることで自然検索でも露出が増え、売上増につながります。ライブ配信やキャンペーンを組み合わせ、短期間で集中して販売数を伸ばすことに成功すれば、ランキング上位に入りやすくなるという好循環が生まれます。実際に成功している日本企業は、こうしたShopee特有のアルゴリズムやイベントを徹底的に研究し、プラットフォームが提供する機能を最大限に活用しています。
成功企業の共通点③:信頼構築とレビュー獲得戦略
東南アジアのEC市場全般で言えることですが、マレーシアの消費者も商品購入前にレビューを細かくチェックする傾向が強いです。特に海外からの出品者や日本企業の場合、「本当にきちんと届くのか?」「品質に問題はないか?」と不安を感じるユーザーも多いため、信頼構築を意識した運営が欠かせません。こうした不安を解消し、購入を後押しする要素として、レビュー戦略が非常に重要な鍵を握ります。
配送スピード・梱包品質・アフター対応の一貫性
消費者がショッピングサイトに対して持つ不安や不満の代表例として、「配送が遅い」「梱包が雑」「故障や不具合があった際の対応が悪い」などが挙げられます。こうした点を徹底的にケアすることが、レビュー評価を高める上で不可欠です。
- 配送スピード: マレーシア国内にも、物流や倉庫拠点をもつパートナーと連携することで、発送から到着までの時間を短縮できます。できるだけ迅速な配送を実現し、ユーザーの待ち時間を減らす工夫が求められます。
- 梱包品質: 商品が破損しないよう配慮した梱包を行い、見た目にも清潔感や丁寧さを演出することで、到着時の印象を向上させます。ちょっとしたメッセージカードを同封する企業もあり、ブランドロイヤルティの向上に寄与します。
- アフター対応: 到着後に問題が発生した場合、すぐに交換・返品などを行う体制を整えておくと、ユーザーは安心して購入できます。トラブルが起きた時こそ、誠実かつ迅速な対応を示すと「神対応」として高評価レビューに直結する場合もあります。
これらを徹底している企業ほど、自然と高評価レビューを積み重ねていけるため、検索表示順位やユーザーからの信頼度が上がり、結果的に売上増へとつながります。
初期レビュー数の増やし方と口コミの信頼性強化
新規出店や新商品の発売直後は、レビューがゼロの状態からスタートするため、ユーザーにとっても購入を躊躇する要因になりがちです。ここで重要なのが、「いかに最初のレビューを早期に獲得するか」です。
たとえば、初期段階で購入してくれたユーザーに対してクーポンを付与したり、次回購入時の特典を用意することで、レビュー投稿を促す仕組みを作る企業もあります。ただし、過度にレビューの購入や不正な評価操作を行うと、プラットフォームの規約に抵触する恐れがあるため要注意です。
また、取得したレビューをいかに活かすかもポイントです。テキストだけでなく、写真や動画付きのレビューがあると新規ユーザーの安心感が格段に高まります。そのため、実際の使用感や効果を分かりやすく共有してもらえるよう誘導すると、口コミの信頼性がさらに強化されます。こうしたレビューの質を高める努力が長期的なブランド力の向上にも大きく貢献するでしょう。
まとめ|マレーシア市場で成果を出すために必要な3つの姿勢
Shopee Malaysiaを舞台に成功している日本企業の共通点を振り返ると、いずれも「現地ユーザーに寄り添う姿勢」と「プラットフォーム機能を最大限に活用する柔軟性」、そして「信頼構築を最優先に考える真摯な態度」が見られます。以下の3つの姿勢を再度整理して、これから参入を検討する企業や、すでに参入している企業がさらなるステップアップを目指せるようまとめます。
“日本品質”だけで売れる時代は終わった
かつては「日本製」というだけで売りが立つケースもありましたが、東南アジアの消費者はますます情報に敏感になり、選択肢も増えています。「日本製だから安心」というメリットは今でも一定の訴求力を持ちますが、それだけで差別化するのは難しくなってきています。
そのため、現地ユーザーが具体的にどんな点に価値を感じるのか、どんな問題を抱えているのかを掘り下げ、より明確に「この商品があなたにとって必要ですよ」と示す必要があるのです。デザインやストーリー、成分や使用感など、商品そのものの強みを丁寧に伝えることで初めて、日本品質の良さを最大限に活かせるようになるでしょう。
現地理解・継続改善・ユーザーとの対話が鍵
マレーシア市場で成功するためには、現地の言語や文化を理解し、消費者ニーズに柔軟に対応することが欠かせません。問い合わせへの回答が遅い、あるいは言葉遣いが適切でないと、それだけでユーザーの評価が下がる恐れがあります。
また、キャンペーンやライブ配信など、Shopeeの機能やイベントスケジュールをこまめにチェックし、上手に乗ることで大きな集客効果を得られます。日々の売上データやレビュー内容をもとに改善を積み重ね、ユーザーとの対話を重視することで、リピーターやファンを育てることが可能です。
成功事例を活かして、差別化された展開を
最後に、多くの日本企業が参入する中で、今後は競合も増えていくことが予想されます。むやみに安売り合戦に突入すると、ブランド価値を落としかねません。むしろ、差別化されたコンセプトや独自のストーリーを打ち出し、ユーザーと深くつながる戦略を取るほうが長期的な視点では有利と言えるでしょう。
すでに成功している企業は、機能面や価格面の他にも「使うとハッピーになれる」「健康で楽しい暮らしを提案する」といったメッセージ性を重視しています。こうしたブランディングは、Shopeeのライブ配信やSNSを通じてユーザーと直接コミュニケーションを取りながら育てられる強みがあります。
Shopee Malaysiaは競争が激しいマーケットですが、それだけチャンスも多いプラットフォームです。現地ユーザー視点の徹底、Shopee機能のフル活用、そして信頼構築を軸にしたレビュー戦略を組み合わせることで、あなたの企業も大きく飛躍できる可能性があります。今後さらに拡大が見込まれるマレーシアEC市場で、ぜひ差別化された展開を実現してください。
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