東南アジア最大級のECモール「Shopee」は、成長著しい東南アジア市場に参入するうえで欠かせないプラットフォームの一つです。出店のハードルも比較的低く、初めて海外ECに挑戦する企業やセラーが多く利用しています。しかし、いざ出店してみると、決済や配送に関する思わぬトラブルに直面するケースが珍しくありません。
特に「越境出店」や「現地法人を持たない状態」での参入は、決済手続きや物流ルートが複雑になりやすく、初期段階で戸惑いがちです。ここでは、Shopee出店時に気をつけたい決済・配送まわりの代表的な落とし穴を整理し、その回避策を紹介します。初期のうちからしっかり対策を打っておくことで、ユーザー信頼を損ねるリスクを最小限に抑えましょう。
出店前に知っておきたい:Shopeeにおける決済・配送の全体像
Shopeeは東南アジア全域に展開しており、国や地域によって決済方法や配送システムが異なる点が特徴です。出店セラーとしては、自分がターゲットとする国(フィリピン、マレーシア、シンガポール、タイなど)それぞれの決済プロセスや物流要件を理解しておく必要があります。
国別に異なる決済プロセスとShopee Walletの仕組み
ユーザーがShopeeで購入する際、クレジットカードやデビットカード、現地の電子ウォレット、銀行振込、さらには代金引換(国によってはCash on Delivery: COD)など、さまざまな方法が用意されています。決済が完了するとShopeeが一時的に資金を保持し、商品が配送完了となった段階でセラーに売上が支払われる仕組みです。
また、Shopee独自の電子ウォレット(Shopee Wallet)を使うユーザーも多く、トップアップ(チャージ)による支払いが一般的です。ただし、セラー側が売上を受け取るまでに一定の期間が必要で、国によっては出金サイクルや手数料が異なることを覚えておきましょう。
配送はShopee指定キャリア/自社手配どちらが主流か
Shopeeでは、多くの国で自社配送サービス「Shopee Xpress(SPX)」や提携物流キャリアを通しての配送が推奨されます。セラーが独自に契約した物流業者を使うこともできますが、越境出店の場合はShopee推奨の物流ルートを使うほうがスムーズでトラブルが少ない傾向にあります。
各国の配送事情によっては、コスト面や通関手続きの問題が発生するため、事前にどの配送ルートを利用するかを慎重に検討しましょう。
落とし穴①:決済方法の制限と通貨対応ミス
日本から越境出店を行うセラーにとって、一番困りがちなのが「現地通貨で決済され、海外送金の手続きが煩雑になる」という点です。国ごとに異なる通貨や送金ルールを考慮しないと、売上を受け取るのに余計な手間やコストがかかるケースがあります。
現地通貨決済の強制 → 海外送金への影響
東南アジアの多くの国では、Shopee上でユーザーが支払うのは現地通貨(シンガポールドル、マレーシアリンギット、フィリピンペソなど)となります。セラーが日本法人の場合、最終的に海外送金として日本円の口座に振り込む形を取る必要がありますが、この際に銀行手数料や為替差損が発生する可能性があります。
また、Shopeeが指定する支払いスケジュールに合わせて受け取り通貨をどう管理するかを考えておかないと、売上資金がなかなか手元に戻らない、という事態に陥りやすい点に注意が必要です。
日本法人のままでは出金がスムーズにいかないケース
一部の国や銀行では、海外法人名義の口座でないと送金や資金移動に制限がかかる場合があります。特に大きな金額の売上を処理する際、マネーロンダリング対策などの規制が絡んでくると、追加の書類提出や審査が必要になるケースも。
「売上金がShopeeアカウントに溜まっているのに、なかなか日本の銀行口座に振り込めない」というトラブルを防ぐためにも、現地法人を立ち上げる、もしくは専門の決済代行サービスを活用するといった選択肢を検討しましょう。
回避策:越境出店時の決済代行・口座設計の工夫
越境出店でスムーズに決済を受け取るためには、例えば以下のような対策が考えられます。
- Payoneerなどの海外決済代行サービスを利用し、現地通貨→ドル→日本円への両替を一括管理する
- 現地法人を設立して現地銀行口座を開設し、現地で資金を受け取り管理したうえで必要に応じて日本に送金する
- 為替レートが有利なタイミングで送金処理を行うため、受け取り期間やレートを把握して計画的に出金する
いずれも、あらかじめ税務処理や手数料などを試算し、どの方法が最適かを比較検討しておくことが大切です。
落とし穴②:物流トラブルの代表例とその原因
海外ECにおいて、日本国内以上に注意しなければならないのが物流トラブル。フィリピンやインドネシアなどの場合、インフラが十分に整備されていない地域も多く、遅延や誤配送、さらには通関手続きの不備によるストップなど、さまざまなリスクが潜んでいます。
遅延・誤配送・通関ストップの実例
よくあるトラブルには以下のようなものがあります。
- 配送遅延: 離島や地方地域へ送る際に交通網が未整備で、時間が読めない
- 誤配送: 住所表記の不備や現地ドライバーの判断ミスにより、全く別の場所へ荷物が行ってしまう
- 通関ストップ: 越境での商材が規制対象だった、書類不備によって税関で足止めを食らう
一度トラブルが発生すると、顧客からの問い合わせや返品要請が相次ぎ、店舗の評価が下がる原因にもなるため、初期の段階から複数の物流オプションや問い合わせ対応フローを整備しておきましょう。
現地ラストマイルの不安定さ/配達完了タイミングのズレ
Shopeeが提供する「Shopee Xpress」や提携キャリアを利用すれば、基本的にはラストマイル配送まで一貫して任せられますが、それでも道路事情やエリア特性によっては配達遅延が日常的に起こり得ます。また、配達完了のスキャンが遅れてシステム上のステータスが更新されず、顧客からクレームが入る事例もしばしば。
こうしたラストマイルの不安定さは、セラー側だけで解決しにくい部分があるため、可能な範囲で詳細な配送予定日や追跡情報をユーザーに共有するなど、きめ細かいコミュニケーションが求められます。
Shopee配送(SPX) vs 自社提携ロジ:どちらが安定?
Shopee出店時に使われる配送オプションとしては、Shopeeが契約している物流(SPXや提携ロジ)を利用するか、セラーが自社で提携した物流サービスを利用するかの2通りがあります。
前者のメリットは、Shopeeのシステム上で配送状況が自動的に連動し、顧客への通知やサポートがスムーズになる点。デメリットはコストやサービス品質がShopee側の提携業者に依存することです。
自社提携ロジを使う場合、自由度は高いものの、システム連携や追跡情報の反映が遅れる可能性もあります。扱う商材や配送対象国によってどちらが向いているか検討しましょう。
落とし穴③:返品・返金まわりで信頼を失うパターン
ECで販売する以上、商品に不良があったり、顧客都合での返品が発生するリスクは避けられません。特に東南アジアでは「返品不可」を強く打ち出すと、消費者が不審に思い購入を控えるケースも多いです。また、返品・返金処理が遅延すればSNSでのバッシングやレビュー炎上にもつながりかねません。
返品不可設定のリスクとローカル消費者の期待値
ある程度の返品対応を受け付ける体制を用意しないと、特に高価格帯商品や家電・ファッションなどは「ちゃんと返品できるかわからないから買わない」というユーザー心理が働きます。
国によっては消費者保護法が整備されており、返品対応が義務化されている場合も。「返品不可」「All Sales Final」などと強調しすぎると、結果的に信頼を失い、売上にも悪影響が出やすいです。
対応スピードや返金処理の遅延でレビューが炎上する事例
顧客が返品を希望した場合、Shopeeシステム上で返金申請が行われ、セラーは商品が戻ってきた後に返金手続きをする流れが一般的です。このプロセスが遅れたり、セラーの対応が不誠実だと判断されると、レビューやSNSで炎上する可能性が高まります。
特に出店初期はレビュー数が少ない分、一件の低評価レビューが全体の印象を大きく左右するため、返品・返金対応は最優先で迅速に処理する体制を整えておくことが重要です。
事前に備えるべき対策とチェックリスト
決済・配送まわりのトラブルを最小限に抑え、スムーズに販売を行うためには、出店前からしっかりと体制を整えておくことが肝心です。以下のチェックリストを参考に、自社に必要な対策を洗い出しましょう。
決済:売上の受け取り方法と外貨対応の確認
- 現地通貨での売上をどう受け取るか(Payoneer等の代行サービス利用、現地法人設立など)
- 銀行手数料や為替差損、送金サイクルに関する費用シミュレーション
- Shopee Walletや顧客が利用する決済手段の把握(COD含む)
物流:納期管理、梱包仕様、配送通知フローの整備
- Shopee指定(SPX等)と自社提携ロジ、どちらを利用するかの比較検討
- 離島や地方エリアへの配送リードタイムを考慮した顧客への告知
- 梱包仕様(破損リスク対応)や配送時の追跡情報連携
返品:返品条件とFAQ整備、CSチャネル準備
- 国ごとの消費者保護ルールを調べ、基本的な返品可能期間を設定
- FAQページや商品ページでの返品ポリシー明示
- 返品依頼が来た場合の処理フロー・担当者の決定・返金方法の確立
まとめ|決済と配送の“穴”は、初期信頼の損失につながる
Shopeeをはじめとする海外ECでの成功は、商品そのものの魅力だけでなく、決済の安全性や配送の確実性、そして万が一の返品時の対応力によっても大きく左右されます。特に出店初期は、これらの領域に落とし穴があると一気に信頼を失い、レビューやSNSで悪評が広がるリスクが高いと言えるでしょう。
事前に仕組みを理解・構築し、クレームゼロの運用へ
越境出店の場合、海外送金ルールや通関手続き、現地の配達事情など、日本国内ではあまり意識しなかった要素が多数あります。出店前の段階で十分なリサーチと体制づくりを行い、クレームゼロを目標に掲げて運用を開始できるようにしましょう。
細かな不備を放置せず、顧客目線で「不安なく買い物できるストア」を目指すことで、早期にリピーターや高評価レビューを獲得し、売上拡大につなげることが可能です。
freedoorでは出店準備から運用支援まで一括対応が可能
初めてのShopee出店、特に越境ECとなると「自社内だけでカバーするのは難しい」という企業も多いでしょう。翻訳やカスタマーサポート、物流調整や決済管理など、専門知識を要する領域が幅広いからです。
そんな時には、弊社freedoorのような海外EC運営の支援パートナーを活用すると、煩雑な手続きを一括でサポートし、スムーズに海外販売をスタートできます。ご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
決済・配送の落とし穴を事前に回避し、安心かつ着実に海外顧客の心を掴むストア運営を目指しましょう!
東南アジアビジネスを加速させるなら、freedoorにご相談ください
海外市場への進出や東南アジア向けのプロモーション戦略をお考えなら、私たちfreedoorにお任せください。AI事業をはじめ、WEB・システム開発、WEBマーケティング、コンサルティング、SNS運用、広告運用、そして東南アジアマーケティング支援まで、幅広い領域で豊富な実績を誇ります。
総合的なアプローチでビジネス全体を強化
freedoor株式会社では、以下のような多彩なサービスを組み合わせることで、東南アジアビジネスの成功をトータルにサポートします。
- 東南アジアマーケティング支援:海外市場向けの戦略立案から現地向けコンテンツ作成、広告配信、KOL(Key Opinion Leader)連携まで、グローバル展開を総合的にサポート。
- AI導入支援:無料ツールの試行結果を踏まえた本格導入やカスタムモデル開発、システム統合で、業務フローを革新。
- WEB/システム開発:AIツールを既存サイトや社内システムに組み込み、業務全体を最適化。オリジナルアプリや分析基盤の構築も可能。
- WEBマーケティング支援:AIで生成したコンテンツを最大限に活用し、SEO対策や広告運用、コンテンツ戦略などで東南アジアの顧客接点を拡大。
- SNS運用代行:TikTok、Instagram、Twitter、Facebookなど、多様なプラットフォームでAI生成コンテンツを活かし、ブランド価値を高める運用・分析・改善を一貫サポート。
- TikTok広告運用:注目度の高いTikTokを活用し、ブランド認知拡大や新規顧客獲得を促進。プラットフォームの特性を踏まえたクリエイティブ制作や効果検証までを実施。
これらのサービスを組み合わせることで、単なる部分的な支援にとどまらず、戦略的かつ持続的なビジネス成長へと導くことが可能です。特に東南アジアでのマーケティングを強化したい企業様にとっては、現地の消費動向や文化、媒体特性を理解した上での総合的なアプローチが不可欠。freedoorなら、こうした包括的な支援を通じて、ビジネスの可能性を最大限に引き出します。
東南アジア市場への進出やマーケティングに関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
コメント