東南アジアのEC市場は、ShopeeやLazadaといったモール型プラットフォームを中心に爆発的な成長を遂げてきました。しかし近年では、TikTokやYouTubeなどの動画プラットフォームを利用した“動画コマース”が新たな主戦場として注目を集めています。
ユーザーにとっては「ライブ配信や短尺動画を見ながら手軽に購入できる」魅力があり、セラー側にとっては「文字や写真では伝わりにくい部分を視覚やライブ感でアピールできる」強力な武器となっています。本記事では、東南アジアで急速に普及する動画コマースのトレンドや成功事例、そして導入・運用時に知っておくべきポイントを解説します。
動画コマースとは?ECモールに続く“第2の主戦場”
従来のECはテキストと画像が中心でしたが、動画コマースではショート動画やライブ配信を通じて商品を紹介し、その場で購入手続きができるのが特長です。「動画を見ているうちに、欲しくなったらすぐ買える」という流れが生まれ、これまでの「探して買う」から「出会って買う」へと購買導線が変化しています。
ショート動画やライブでのリアルタイム販売の特徴
動画コマースには、大きく分けて以下の形態があります。
- ショート動画: 数十秒〜数分の短尺動画。エンタメ要素が高く、ユーザーが楽しみながら商品を知ることができる。
- ライブ配信: 配信者とのリアルタイムコミュニケーションが可能。視聴者がチャットで質問し、即座に回答・購入できるのが強み。
これらの特徴が「ユーザーが商品を理解しやすい」「購入を後押しする心理的仕掛けが作りやすい」という理由で、ECモールにはない強い訴求力を発揮しています。
TikTok Shop、YouTube Shoppingなどの登場背景
TikTok ShopやYouTube Shoppingなどが続々と台頭している背景には、短尺動画市場の拡大とSNS利用の変化があります。ユーザーは情報収集だけでなく、エンタメやコミュニケーションをSNS上で完結させるようになり、その流れで「動画を見ながら買い物できる」仕組みが求められているのです。
購買導線の変化:「探す」から「流れてきたら買う」へ
ECモールでは、ユーザーが「何かを探そう」とアクセスし、検索やカテゴリで商品を見つけるのが王道でした。一方、動画コマースでは配信やおすすめ動画に偶然出会い、その場の勢いで「面白いから買ってみよう」と思わせる仕掛けが鍵となります。
この「プッシュ型」のアプローチにより、新規顧客へのリーチや商品認知度向上が格段に高まる可能性があるのです。
なぜ今、東南アジアで動画コマースが急成長しているのか?
特に東南アジアではスマートフォンが爆発的に普及し、Z世代やミレニアル層を中心に動画コンテンツへの依存度が高まっています。そこにSNSとECが統合されることで、動画コマースが大きく花開いているのです。
モバイル中心社会×若年層×SNS中毒=高い親和性
フィリピン、インドネシア、マレーシアなどでは、スマホが唯一のインターネットデバイスというユーザーも少なくありません。SNS(FacebookやInstagram、TikTok)を日常的に使い、タイムラインを流し見する中で興味のある動画があれば視聴→購入という流れが形成されやすいのです。
また、若年層はSNSでの口コミやインフルエンサーの影響を受けやすいため、動画で商品を紹介されると即時に購買へ進むケースが高いと言われています。
フィリピン・インドネシア・マレーシアでの利用動向
フィリピンやインドネシアは世界トップクラスのSNS利用時間を誇り、TikTokやYouTubeが日常の娯楽として定着しています。これに伴い、TikTok ShopやYouTube Shoppingの視聴者・購入者も増加中です。
マレーシアでも英語や中国語が通じる多言語社会のため、海外製品や海外ブランドを動画で発見し、そのまま注文するパターンが顕著に増えており、“動画×EC”が一気に市民権を得てきています。
モールだけでは取れない層へのリーチが可能に
ECモール(ShopeeやLazadaなど)は「買おうと決めている層」にアプローチするのに適していますが、一方で、潜在的なニーズや衝動買いを狙うには動画コマースのほうが向いています。
まだ商品名やカテゴリを検索しない潜在顧客に対しても、インフルエンサーの動画を通じて魅力を訴求し、一気に購買へとつなげられる点が、東南アジア全域で人気を博す理由と言えるでしょう。
動画コマースで成果を出す企業の共通点
動画コマースを取り入れる企業は増えていますが、全てが成功するわけではありません。どのような運用をしているかで成果に大きな差が出ます。ここでは成功企業に共通する3つのポイントを整理します。
① 顧客参加型(コメント・プレゼント)の設計
ライブ配信や動画投稿で、「一方的に商品を紹介するだけ」では効果が限定的です。
成功企業は、コメントを読み上げたり、質問コーナーやクイズ、プレゼント企画を配信中に実施することで、視聴者を巻き込み、ブランドに対する愛着を高めています。
このようなインタラクティブ性を意識した設計が、購入率を高めるカギです。
② 商品理解を深める“ライブならでは”の見せ方
ECモールのテキストや写真だけでは分かりにくい質感、サイズ感、使い方をライブ配信や動画内で示すと、ユーザーの信頼感が向上します。
また、“ライブならでは”の要素として、使用前後のビフォーアフターや、スタッフのリアルな感想などを混ぜることで、臨場感とリアリティを強調できます。
③ 配信前〜後まで一貫した販促設計
成功企業は、配信前の予告・告知から配信中の割引、配信後のフォローアップまでを一本のストーリーとして設計しています。
例えば、SNSで配信日を告知し、ライブ中だけの限定クーポンを用意、配信終了後はハイライト動画を公開して購入に至らなかったユーザーにリターゲティングするなど、複数施策を連動させることで転換率を高めるのです。
活用事例:TikTok Shopやライブ配信で成功した日本ブランド
具体的な事例として、TikTok Shopやライブ配信機能を活用し、大きな売上アップを実現した日本ブランドのケースを3つ紹介します。
コスメ:ライブでの比較紹介が効果的
あるコスメブランドは、TikTokで2種類のファンデーションを半顔ずつ比較して紹介するライブを実施。視聴者が使用感の違いやカバー力をリアルタイムで見られるため、「自分にはどちらが合いそうか」を判断しやすく、視聴中の購入率が通常のEC販売の2.5倍に達したそうです。
調理器具:使用感を実演してCVRが2.8倍に
調理器具メーカーがTikTokライブで実際に料理を作る様子を映し、短時間で簡単に美味しい料理ができるプロセスを見せました。視聴者は「こんなに時短になるなら欲しい」と即購入に繋がり、CVRが2.8倍に。
また、コメント欄で視聴者が質問→その場で回答という流れが商品理解を深め、返品率の低減にも寄与したとのことです。
日用品:クーポン連動&まとめ買い促進の好事例
日用品を扱うブランドは、ライブ配信中にクーポンコードを発行し、まとめ買いでさらに割引を受けられる仕組みを導入。視聴者は家族や友人とシェアすることを想定して大量購入に踏み切り、単価アップと在庫回転率アップを同時に達成しました。
配信後はSNSでの口コミが広がり、ECモールへのアクセスや店頭売上にも好影響が出たそうです。
導入・活用時の課題と成功のための準備
動画コマースが注目を集める一方、導入や運用においてはいくつかのハードルがあります。事前に対策を講じておくことで、スムーズに成果につなげましょう。
課題①:出演者・話し手の設計(社員?インフルエンサー?)
ライブ配信や動画での説明を誰が担当するかは重要なポイントです。社内スタッフが出演すれば商品知識が豊富ですが、表現力やカメラ映えなどが課題になる場合も。一方、インフルエンサーを起用すれば拡散力が増すものの、コストやブランドイメージのコントロールが必要です。
どちらを選ぶにしても、出演者の魅力と商品理解が肝心なので、準備段階でしっかりと打ち合わせしておく必要があります。
課題②:動画制作体制の整備(内製か外注か)
ショート動画やライブ配信を定期的に行うには、それを支える制作体制が欠かせません。編集やサムネイル作成、配信スケジュールの管理など、社内リソースでは賄いきれない部分も多いです。
内製化するなら担当者のスキルアップやツール導入が必須となり、外注する場合は制作費やコミュニケーションコストを考慮する必要があります。
課題③:物流・決済の整合性(特にTikTok Shop)
動画を見て即購入できるメリットがある反面、在庫管理や発送処理、決済方法の連携が整備されていないと、注文後の配送トラブルや顧客問い合わせが増えるリスクがあります。
特にTikTok Shopはプラットフォーム内で決済を完結させる仕組みがある一方で、ローカルの物流や支払い方法との連携に留意が必要。配信前にテスト注文やデモを行い、問題がないかをチェックしましょう。
まとめ|“動画で売る”時代、成功の鍵は「設計」と「一貫性」
ECモール全盛の中、動画コマースは新たなチャネルとして存在感を強めています。特に東南アジア市場では、ユーザーがSNSや短尺動画でエンタメを楽しみつつ購買に至る流れが定着しつつあり、今後も拡大することが予想されます。
一発配信で終わらない、“仕組み化”で売上に直結させる
動画コマースは「一度ライブ配信をやってみたら売れた!」で終わりではなく、定期的な配信計画や動画のアーカイブ活用、インフルエンサーコラボなどを通じて売上アップの仕組みを作り上げることが重要です。PDCAを回しながらテストを繰り返し、配信の質と認知度を上げていきましょう。
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