ISO規格の種類大公開!違いや導入メリットも徹底解説
目次
1.ISOの種類
2.ISO 9000シリーズ: 品質管理規格
2-1.ISO 9001: 品質管理システムの要件
2-2.ISO 9004: 継続的な改善に焦点を当てた指南
3.ISO 14000シリーズ: 環境管理規格
3-1.ISO 14001: 環境マネジメントシステムの要件
3-2.ISO 14004: 環境マネジメントシステムの実施に対する一般的なガイダンス
4.ISO 27000シリーズ: 情報セキュリティ管理規格
4-1.ISO 27001: 情報セキュリティマネジメントシステムの要件
4-2.ISO 27002: 情報セキュリティのベストプラクティス
5.ISO 45001: 労働安全衛生規格
6.労働安全衛生マネジメントシステムの要件
7.各ISOの違いと特徴
8.ISOの適用範囲:情報セキュリティを徹底的に解説
9.各ISOが適用される業界や組織の種類
10.要件の違い
11.各ISOが求める基本的な要件の違い
12.認証プロセス
13.各ISOの認証を取得するための一般的な手順
14.ISOの導入メリット
15.組織におけるISOの導入による利点
16.国際的な競争力向上への寄与
17.まとめ
日本の企業がますます海外進出し、ISOを取得して信頼を築く例が増えています。取引先も信頼性の高い企業を求め、ISO認証が条件となることも増加。自社でもISO取得を考えている方へ、代表的なISOの違いや導入メリットについて分かりやすく解説します。
1.ISOの種類
ISOの種類は大変多く、発足以来制定した国際規格は5万以上とも言われています。
普段当たり前のように使っているクレジットカードも大きさの規格が決まっています。
ねじや非常口のマークなども代表的な例です。
ISOの種類は、時間の単位や質量、長さに対して世界共通のものさしであるモノ規格と組織の品質や環境活動を管理するマネジメントシステム規格があります。
企業として取得されているのが、品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムです。
しかし最近では、ほかにも自社の業界に特化した規格認証を取得するケースが増えています。
ここからは、代表的なISOについてご紹介します。
2.ISO 9000シリーズ:品質管理規格
企業でよく取得されているISOの一つが9000シリーズです。
自社で製造するものの規格ではなく、マネジメントの規格になります。
管理や仕組みが正しく行われているかどうかが見られ、合格すれば取得できます。
ひと昔前は品質管理もそこまで範囲が広い意味ではなかったのですが、現在は組織も含まれていて幅広いのが特徴です。
品質管理では、要求事項を満たした品質マネジメントができているかが見られます。
組織では、指揮を行い管理するための調整された活動ができているのかチェックされます。
2-1.ISO 9001:品質管理システムの要件
ISO 9001は、品質に関わる規格でいくつかの要件が決まっています。
利用する顧客満足度を上げるためにその時だけでなく、継続的に改善してより良いものを提供できるようにすることが最終目標でもあります。
要件事項としては、具体的にどんな風に品質の良さを上げるのか目標を2つ決めなければいけません。
なんとなく顧客が満足できるようにと曖昧に決めるのではなく、納得してもらえるように方針を決める必要があります。
適用範囲内に入っているか、組織の状況やリーダーシップ、計画や支援、運用などのプロセスがしっかりと動いているのかが見られます。
認証してほしい一心で取得が目的になりがちですが、目的は顧客満足度を上げるためです。
要件を満たすように考える時には、顧客満足度とその品質を維持してさらに向上させることを考えましょう。
2-2.ISO 9004:継続的な改善に焦点を当てた指南
ISO 9001の目標を達成するだけでなく、品質のコストを持続的に成功させるためには組織をどうマネジメントしていくのかを考えなければならないのがISO 9004です。
戦略やリーダーシップ、資源などに関してメリットやデメリットを今一度見直して改善していくことが必要です。
ほかにも、組織のすべての管理層が、品質マネジメントを参照しつつ顧客や利害関係者のニーズを満たすことも含まれています。
組織が今後も成長していくうえで避けては通れない課題を把握し、適応させていくことも重要です。
利害関係者のニーズは必ずしも自社と一致しているとは限らないため、難しさもあります。
相手が何を求めているのかニーズの変化に敏感になり、合わせていくことが大切です。
組織の使命、ビジョン、価値観、文化に注目し、トップマネジメントが決定する力も必要です。
3.ISO 14000シリーズ:環境管理規格
環境マネジメントシステムについて規格されたものがISO 14000シリーズです。
中でも、ISO 14001を中心にしながら、環境パフォーマンスや温室効果ガスなどの規格を作成しています。
世界では持続可能な発展のためにも、環境への負担を減らし、再利用や省エネなどの取り組みが重要です。
各企業も他人事ではなく、自主的に環境保全のためにも取り組むように求められています。
そのため、企業の環境や配慮への後押しにもなるようにと、ISO 14000シリーズが注目されています。
3-1.ISO 14001:環境マネジメントシステムの要件
環境マネジメントシステムでは、いくつかの要件事項があります。
組織の状況では適用範囲の決定が正しくでき、環境マネジメントシステムもできているか、リーダーシップでは環境方針や責任・権限が問題ないかなどです。
ほかにも、支援部分では力量や認識が見られますし、運用では計画や管理がチェックされます。
どの業種や形態であってもISO 14001は適用できるため、取得する企業も多いです。
環境方針を決めたら、皆がわかるように公表する必要もあります。
自社だけでなく広くさまざまな人に知ってもらえるように、インターネットで公表します。
ほかにも、計画や実施、点検、見直しを行って環境影響の評価やマニュアル作成も必要です。
事業活動では環境にどんな影響を現在与えているのか、改善するためにはどうしたら良いのかも考えます。
計画をしたら、具体的に企業全体で取り組み結果を出していくことも必要です。
3-2.ISO 14004:環境マネジメントシステムの実施に対する一般的なガイダンス
環境マネジメントシステムを実施するための指針について書かれたガイドラインがISO 14004です。
すでに構築されたISO 14001を、さらに向上させたい場合に活用できます。
自社として、より効果的に環境マネジメントシステムを進めていきたいと考えた時にはISO 14004が重要です。
環境マネジメントシステムについていまいち理解ができていない部分も、あわせて記載されている事項を読めば促進できます。
環境マネジメントシステムのISO 14001を取得する際は、参考にISO 14004も見ておくと理解が深められ、自社の計画もしやすいでしょう。
4.ISO 27000シリーズ:情報セキュリティ管理規格
近年では個人情報の規制が厳しくなっていますが、ISO 27000シリーズは情報セキュリティマネジメントシステムに関する規格になります。
重要な情報が第三者に悪用されるようなリスク低減へ向けて、国際的に活用されている管理規格でもあります。
ISO 27000シリーズに企業として取り組むことで、ほかから情報を抜き取られて悪用されない強固なセキュリティ体制を構築可能です。
そのため、近年さまざまな企業でISO 27000シリーズの取得を行っている企業は多いです。
情報セキュリティの中でも知られているのがISO 27001になります。
4-1.ISO 27001:情報セキュリティマネジメントシステムの要件
情報セキュリティを守るためにも、ISO 27001では組織のISMSを認証するための要件があります。
規格の認証を受けるためには必須事項です。
さらに、企業のサービスや製品の管理方法ややり方がおかしくないのかも見られているので注意が必要です。
おかしい箇所があると認証されません。
まずはISMSを構築し運用を行って、評価や改善も要件に入っています。
計画を立てるうえで、まず自社の中で今どんな情報流出のリスクがあるのかを考えて明確にします。
そのうえで、情報が流れないように計画を具体的に立てて実際に運用することが必要です。
評価もできないとしっかりと効果があったのかわからないため、評価の仕方も決めておきます。
4-2.ISO 27002:情報セキュリティのベストプラクティス
ISO 27002では、より詳しい情報セキュリティの管理策が書かれています。
ISO 27001だけでは理解し切れていなかった部分も、具体的に書かれているため理解を深められます。
管理策についても1000近くの方法が示されているため、自社にとってピッタリな方法も見つかりやすいでしょう。
企業にとって大切な情報が知らないところで見られていたら大変です。
そのため、具体的な実践方法は助かります。
しかし、1000近くの記載がある分、すべてを自社で取り入れるのは困難です。
自社の現在の状況を一度しっかりと考えて、そのうえで合った対策をしましょう。
5.ISO 45001:労働安全衛生規格
労働を行ううえで安全管理は重要です。
そこで、ISOの中には労働安全衛生規格が作られています。
安心して労働者が働けるように、ISO 45001では安全な労働環境を整えるための枠組みを決めています。
ある業種に特化したISOの中で、こちらはどの業種・業態であっても利用可能です。
労働安全衛生規格が認証されれば、労働安全衛生のパフォーマンスを向上する、安全で健康的な職場が提供でき従業員も安心して働けるなど、メリットが増えます。
海外企業とのスムーズな取引にもつながります。
6.労働安全衛生マネジメントシステムの要件
求められる要件は、労働者が何を考えているのか把握したうえで労働安全衛生マネジメントシステムを運用する必要があります。
さらに、構築をする際、トップマネジメントだけではなく、実際に働く労働者も参加するようにと決められています。
計画を行う際は、何がリスクとなるか考え、実行した際に分析や評価できるようにしなければなりません。
さらに、急に起きるリスクも一緒に考え、準備や対策もする必要があります。
7.各ISOの違いと特徴
ISOは、それぞれの目的に合わせて用意されているため、自社で何を取得したいのか明確にして、それに合わせたものを選ぶことが大切です。
品質や環境、情報セキュリティをはじめ、ほかにもさまざまなISOが存在します。
さらに、よく利用されているメジャー規格のほかにセクター規格もあります。
メジャー規格はISO 9001のような規格を言いますが、対してセクター規格は特定の業種に特化したものです。
特化している分通常の要件のほかに追加で規程があります。
ISO 13485の医療機器に関する品質マネジメントシステムの規格やJISQ9100の航空宇宙に関する品質マネジメントシステム規格があります。
8.ISOの適用範囲:情報セキュリティを徹底的に解説
適用範囲になるのは、マネジメントシステムが有効に機能する範囲です。
ISOのマネジメントシステム認証規格でISO 27001の情報セキュリティマネジメントシステムの要件を選んだ場合、規格に沿って構築する必要があります。
情報セキュリティに関係のない部分は適用範囲外になります。
ただし、明確に適用範囲の決まりがあるわけではありません。
事業者がISOのマネジメントシステムの認証するためには、範囲を決定しなければならないと決まっています。
柔軟に範囲は決められますが、なんでもOKなわけではなく、正当な理由を説明できなければなりません。
9.各ISOが適用される業界や組織の種類
各ISOが適用される業界や組織の種類は、広範囲にわたります。
業界では、飲食業界や航空宇宙業界、IT業界や建設業界などさまざまです。
ほかにも、地方自治体や病院なども含まれます。
ISOの中には、ほぼどの業界でも当てはまるISO 9001やISO 14001もあります。
組織は2人以上の集まりを言うため、個人事業主は含まれません。
皆で同じ方向を見て動いてもらうためにも、マネジメントは重要です。
誰かがはみ出たことをしてしまうと、企業にとっても大きなリスクとなります。
その場合、企業でも規則を作り運営するでしょう。
同じようにISOも安心して企業が運営できる国際的な基準を示しています。
10.要件の違い
まず、大きな部分では要件は共通していて、構造は統一されています。
適用範囲や組織の状況、方針などが定められています。
ただ、要件事項の中では、どのくらい実施するかと細かくは決められていません。
実施するISOによってその基準は変わってくるため、詳細は組織に委ねるような要件になります。
自社としても、何を要件に組み込んでいくのか、基準を決める必要があります。
あまりに厳しく、あれもこれもと取り入れてしまうと、従業員への負担が大きく悪循環になる可能性もあるため注意が必要です。
要件を満たしつつも、負荷がかかり過ぎない基準を作る必要があります。
11.各ISOが求める基本的な要件の違い
各ISOではそれぞれ目的が違うため、それに伴って要件も変わります。
特に医療機器や航空宇宙などでは、特化した要件が求められます。
業界別に変わってくるため、注意が必要です。
サービスや物を製造する製造業工場ではISO 9001を取得するケースが多いですが、品質の良いものを顧客に提供できるような仕組みを決めた規格です。
対して、環境のISO 14001の場合は環境パフォーマンスが重視され、環境への負荷を継続的に軽減できるかどうかが重視されています。
何のISOを選ぶかで見られている部分が変わります。
12.認証プロセス
ISOでは、認証をするために第三者認証を採用しています。
組織の人物ではなく、関係のない第三者が基準を満たしているか公平に審査を行って、問題なければ組織に対して認証証明書を発行します。
認証が受けられれば、日本にとどまらず海外でも通用できる企業として取引が可能です。
日本で認証されると、世界各国の認定機関が相互承認しているため、問題なく取引できる企業と認めてもらえます。
13.各ISOの認証を取得するための一般的な手順
認証を取得するためには、大まかな流れはどのISOでも同じです。
まずは取得を行うにあたって準備が大切です。
自社としてどのISOを目指すのか、適用する範囲をハッキリさせましょう。
中心となる担当者を決め、準備に取り掛かります。
ISOの要求事項も必要になるため、購入して実際に構築を行います。
自社で方針や構築が固まったら、その内容に合わせて運用を開始しましょう。
結果がどうだったのか、成果を見て良かった点や今後に向けて改善しなければいけない点を確認し、さらに良い結果が得られるように取り組みます。
構築しただけではISO認証は取得できないため、実行して問題点がないか調べて改善することも重要です。
その後審査を受けるために、ISO審査機関に見てもらいます。
構築から実行、改善までに問題なければ、適合していると認められて認証されます。
14.ISOの導入メリット
取引先から信頼を得るためにISOを導入する企業も多いかもしれませんが、実はさまざまなメリットがあります。
これまでに比べてスムーズに社内教育を行いやすくなり、漠然と業務にあたるのではなく明確な目標を持って内部監査を実践できます。
コンプライアンスを徹底できるので、大きなミスを防ぐことも可能です。
従業員もなんとなく行ってきた作業に対して、明確な役割や権限もわかるようになり働きやすくなります。
今何をすべきか各々がわかるようになり、仕事の効率もアップします。
ほかにも、製品やサービスを提供している場合、品質の向上や安定が保たれるようになるなど、メリットは多いです。
15.組織におけるISOの導入による利点
組織としてISOを導入できれば、安心して仕事を任せられる企業だと認められます。
決してISOは簡単に取得できるものでなく、準備から実行、問題点を見て、さらに改善するまでにも時間もかかります。
その過程を経て認証を受けた企業であれば、何も取得していないところよりも優先して仕事を頼みたいと思ってもらえるのです。
ISOは、日本だけでなく国際規格で定めている要件も満たしている証拠でもあります。
16.国際的な競争力向上への寄与
日本にとどまらず、海外でも活躍したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
ISO認証を取得できれば、海外の企業からも信頼を得られます。
国際基準を満たしているということで、日本での取引同様優先的に取引ができる可能性も高まります。
中には、ISOを取得していない企業とは取引をしないと決めている企業があるのも事実です。
何も取得していないと、まず仕事のチャンスを逃してしまう可能性もあります。
17.まとめ
ISOにはさまざまな種類があるため、自社として何の認証を目指すのか考えて準備を始めることは重要です。
簡単に取れるものではなく、ある程度期間も必要です。
認証をもらうためには、準備だけでなく実行をして結果を分析し、改善しなければならない点を見つけ、さらに実行をします。
その過程を見られ、問題なければ認証されます。
安全で安心な取引をしたいと考えている企業も一定数いて、ISOを取得しているかどうかを重視している場合も多いです。
海外でも通用するため、まだ取得していない企業は自社に合ったものの、認証を目指しても良いでしょう。
取得する際には要件事項も重要ですので、しっかりと確かめて臨みましょう。